結論から言うと、健康保険から高額療養費を受け取った場合、医療費控除の計算ではその金額を「保険金等で補填される金額」として差し引く必要があります。受け取った高額療養費をそのままにして医療費の合計額だけで計算すると、控除額を過大に申告してしまうため注意が必要です。
高額療養費は保険金等の補填額に該当する
医療費控除額は、支払った医療費の合計額から保険金等で補填される金額と足切り額を差し引いて計算します。健康保険から支給される高額療養費は、医療費に対する補填として、この「保険金等で補填される金額」に該当します。
出典: 国税庁タックスアンサー No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)差し引く範囲は「対象となった医療費」の限度
保険金等で補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きます。つまり、高額療養費として受け取った金額が、その入院・治療にかかった医療費を上回った場合でも、他の医療費からさらに差し引く必要はありません。この考え方は生命保険の入院給付金など他の補填金についても共通しています。
具体的な計算の流れ
たとえば、入院・手術で医療費を40万円支払い、高額療養費として15万円が支給された場合、その入院にかかった医療費からは15万円を差し引いて計算します。他の通院や歯科治療でかかった医療費については、この15万円をさらに差し引く必要はありません。医療費控除の明細書には、受け取った高額療養費の金額も正確に記載しておく必要があります。
出産育児一時金など他の給付金も同じ考え方
高額療養費だけでなく、出産育児一時金や生命保険の入院給付金・手術給付金なども、医療費控除の計算上は同じ「保険金等で補填される金額」として扱われ、対象となった医療費の範囲で差し引きます。複数の給付金を受け取っている場合は、それぞれどの医療費に対する給付なのかを整理しておくと、差し引き漏れや二重の差し引きを防ぎやすくなります。
高額療養費の支給が翌年になる場合
高額療養費は、支給の決定までに数か月かかることがあり、実際に医療費を支払った年と、高額療養費を受け取る年がずれることもあります。この場合の扱いは個別の状況によって変わるため、判断に迷う場合は所轄の税務署に確認することをおすすめします。
保険金等の補填額を差し引いた正確な還付見込み額を確認したい方は、医療費控除・セルフメディケーション税制 還付金シミュレーターをご利用ください。