結論から言うと、医療費控除とセルフメディケーション税制は選択制の制度で、同じ年に両方の適用を受けることはできません。「医療費もOTC医薬品も両方あるから、2つの控除を合わせればもっとお得になる」という考え方は誤りです。この記事では、なぜこの誤解が生まれやすいのか、そして正しい比較の仕方を解説します。
なぜ「併用できる」と誤解しやすいのか
医療費控除は病院での診療・治療にかかった費用が対象、セルフメディケーション税制はドラッグストア等で購入したOTC医薬品の費用が対象と、対象となる費用の種類が異なります。そのため「別々の費用を対象にしているのだから、両方申告できるのでは」と考えてしまう人が少なくありません。しかし、この2つは同じ「医療費控除」という制度の中の選択肢であり、対象費用が異なっていても、確定申告で選べるのはどちらか一方だけです。
制度上のルール(選択適用)
国税庁の公表情報によると、医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用の関係にあり、同じ年に両方の適用を受けることはできません。一度どちらか一方を選んで確定申告をした後に、修正申告や更正の請求によって後からもう一方に変更することもできません。
出典: 国税庁タックスアンサー No.1131 セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用やってはいけない考え方
たとえば「医療費控除の対象になる金額」と「セルフメディケーション税制の対象になる金額」をそれぞれ計算し、その2つを単純に足し算して「今年はこれだけ控除される」と見積もるのは誤りです。実際に確定申告書に記載できるのは、選んだ一方の制度の控除額だけです。もう一方の制度で計算した金額は、あくまで比較のための参考値であり、申告書には反映されません。
正しい比較の仕方
正しい進め方は、医療費控除とセルフメディケーション税制のそれぞれで控除額・還付見込み額を個別に計算し、その2つを比較して有利な方を選ぶことです。合算するのではなく、並べて見比べる、という考え方に切り替えることが重要です。
両制度の還付見込み額を横並びで比較したい方は、医療費控除・セルフメディケーション税制 還付金シミュレーターで試算してみてください。